皆さんはお薬手帳を普段持ち歩いているでしょうか。
お薬手帳は、1993年日本国内の別々の病院から抗ウィルス剤ソリブジンと抗がん剤フルオロウラシルの処方を受け、併用服用して死亡した事件をきっかけとして導入されました(Wikipediaより)。その2年後、阪神大震災が発生し、災害時の対策の一つとしてお薬手帳の必要性が再認識されました。
お薬手帳を初めて形にして取り組んだのが、埼玉県の朝霞地区薬剤師会で、1995年~1996年にかけて「医薬分業モデル地区」に指定され薬の相互作用から患者を守るために考案されたということです。
その後2000年の調剤報酬として評価、お薬手帳に薬剤の名称等を記載する事で「薬剤情報提供料」が算定出来るようになりました。お薬手帳を普及するうえで非常にいい事だと思っています。
しかしながら、一方で非常に消極的な取り組みであると思えます。それは以下の点からです。
1) 2000年に調剤報酬として評価されながら2022年の今になっても、医療機関でお薬手帳を確認しても評価されない点です。皆さんも病院や診療所に行かれた時、あまり見せてくださいと言われた事が無いのではと思います。また、あったとしても初診の時ぐらいでは無いしょうか。
おくすり手帳が誕生した経過から言っても、受診の都度見てこそその意味があるはずです。仮に点数が付けば、必ず確認するようになるはずです。また医療機関だけでなく、介護の事業所で飲んでふらつくとか眠気が出るというお薬を服用している事が分かれば転倒への配慮なども出来ます。どうして薬局だけにお薬手帳確認のメリットを与えるのか理解出来ません。
2)お薬手帳を災害時利用なども意識するのであれば、お薬手帳の表示や項目などをしっかり定めるべきだだっと思います。お薬手帳は、発行する事業者で名称が違ったり、中に表示されている項目も違います。これらは統一される方が分かりやすいと思いますし、活用も統一されます。
3)電子お薬手帳もずいぶん普及し、スマートフォンなどで見るとたくさんのアプリのある事が分かります。ところが、お薬手帳は複数持たずに一本化することが求められているのですが、このアプリは事業社主体で他のアプリとの連携も無くバラバラに存在します。一部はデータの共有が出来るみたいですが、そのアプリに異なる薬局で調剤してもらった薬を入れようとすると手で入れるように言われます。手で入れるなんてとても出来ません。
国民の命や健康に関わる事なのに行政として管理せず野放しで、本来のお薬の併用によるリスクから患者を守るという目的に逆行しているとも言えます。また電子お薬手帳では、医療機関でも確認の手間が増え余計に確認されにくくなります。
2023年には本格電子お薬手帳の運用を目指し検討を開始したという事ですが、実に後手で情け無いお話しです。かたやマイナンバーカードで薬剤情報の閲覧も進んでいます。どう統一されるがか分かりませんが、有効に活用出来るようになって欲しいと思います。
いろいろと問題はありますが、お薬手帳は非常に有効なものには違いありませんので、積極的に活用されることを願う次第です。
今回から画像にしばらくウクライナを応援する画像を追加することにしました。人としてもそうですが、特に医療に携わっていたものとして許せない行為への抗議です。
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