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オンライン資格確認

2021年10月20日からオンラインの保険資格確認がスタートした。マイナンバーカードに保険証の情報を紐づける事で、医療機関や薬局で保険証の確認をリアルタイムで出来るようになるという事である。


ポイントは以下のとおりとなる。

①医療機関や薬局はリアルタイムで保険確認が出来るので、患者本人が資格を喪失している事を受診の段階でチェック出来る事。

②電子カルテに保険情報をオンラインで取り込む事で、転帰ミスが無くなり、事務的効率の軽減になる。もちろん、リアルタイムでの資格確認が出来るので資格喪失がその場でチェック出来る。

③限度額認定の金額を申請しなくてもオンラインで確認出来るようになる。

④その患者の薬剤情報が閲覧出来て、診療に役立てる事が出来る。

⑤特定健診の結果(検査値)等も閲覧可能。

⑥災害時の患者対応が大きく改善される。


上記の6つが示されているが、①~③と⑥は確かに便利になるはずだ。特に③は患者側の大きな負担になっており、役所とか保険事務所に行き申請するとかの手間が省けるので非常に助かる。また、④や⑤についても確かにいい事であり、医療サービスの質的向上に繋がるものであると思う。しかしながら、医療機関や薬局にとってはいい事ばかりでは無い。


当初はいろいろ混乱がある事は置いておいて、以下の2点について懸念をする。オンライン資格確認に伴う薬剤情報の閲覧の運用に於いては検討をする必要があると思う。


1)患者から薬剤情報の閲覧をして欲しいと言われた時、これは医師の業務になる可能性が高い。行政のマニュアルでは薬剤情報の閲覧は有資格者となっているが、診療所では看護師では難しいと思う。何故なら医師程に薬の知識が無いので、他院で出されている薬と自院で出している薬の相互作用の関係とかは分からないと言ってもいいと思う。更に、常用量とか極量を超えているとかは分からない方が多い。つまり薬剤情報を見るという事は、医師の業務になり、且つそこには責任が付いて回るはずである。この問題について触れられていないのが今後の大きな課題である。診療の効率化や精度向上とは、どんな薬を他院で処方されているのか、自院で処方している薬との関係、重複投与が無いか等々を医療機関でチェックする事を求められてるのである。ここでチェックが不十分であれば、当然責任が求められる事も出て来るのではと考えられる。


2)薬の相互作用や薬剤の重複等々があった時にどこの責任に於いてそれを調整するのかも不明確である。マニュアルでは薬局はそのチェックと調整に当たる記載されているが、複数の医療機関に渡る調整は出来ないであろう。A診療所とB診療所の調整に当たる際、A診療所では今後この処方はしないで欲しいとは言えないだろう。また、医療機関同志が連絡を取り合うのも難しいと思う。場合によっては、結果的に一方の受診を止めて欲しいという話を出さないといけない。マニュアルではかかり付け医の役割とも取れるが、現場にとってはこれは非常に大きな問題であると思う。

厚生労働省の資料とphoto-ac.com/からの加工画像

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