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未収金対策④回収



今回は未収金の回収についてお話しします。


⑴未収金が回収出来た時

未収金の回収が出来た時には、未収入金として処理をし領収証を発行します。この際、備考欄に何月何日の未収金と記載する事を忘れないようにしましょう。また、分割支払いの一部入金があった際には、未収金の一部入金として処理し領収証を発行します。ここでも、備考欄には何月何日の未収金、何回目分と記載する事を忘れないようにすると共に、分割支払い書への記載も忘れないようにしましょう。


⑵未収金が回収出来なかった時

次に未収金の入金が無い時の対応です。入金がない時は、最終的に損金として処理を行います。病院として、どのタイミングで損金処理を行うかは、それぞれの病院でルールがあるはずですので、それに従って行います。このルールを作っておかないと、必要以上に税金を支払う事になりますので注意してください。私も過去7年ぐらい損金処理をしていなかったという例も見ています。


この損金処理のルールですが、1年以上経過していない未収金は、損金として処理出来ないという事が一つ、もう一つは請求権が5年(令和2年4月1日より変更。それまでは3年であった)で消滅するということですので、これを基本として対策を決める必要があります。ただ、5年を過ぎたからと言って窓口で未収金がある事を伝え、徴収する事は問題ありません。法的に争えないという事です。


また、損金処理をする際には、債権者としての義務を果たしている事も求められます。どういう事かと言いますと、具体的には請求行為が3回以上行われている事。3回目以降、一度は内容証明郵便で請求が行われているという事です。内容証明郵便については、郵便局のホームページに記載規定が示されていますので、予めフォームを作って置くといいといいでしょう。


ただ、この3回の手順は確認のためネットを検索をしても、私の探し方が足りないのか記載されておらず税務調査上の内規かも知れません。私が実際に税務調査で指摘された事です。


以上の点から、未収金の入金が無い時の手順として以下の事が求められます。

1)督促

➀未収金の督促は3回以上行うこと。3回目は内容証明郵便で行う事。

②内容証明郵便はすべての未収のある方に対して送るようにするのか、一定以上の金額の方に対して行うのかを決める必要があります。切手代などの経費より低い未収金は、回収しても元が取れなくなります。内容証明郵便送付の簡単な手順書も作成しておくといいです。

③請求の記録を残しておき、共有出来るようにしておく事。記録は、未収の金額、いつの未収であるか、未収となった原因、督促の日時と方法、担当者名、先方の名前を残す事。


2)少額訴訟制度や支払督促の利用

➀少額訴訟制度は、60万円以下の金銭の請求に関する紛争に対して行われるものです。通常の裁判に比べて、弁護士も必要とせず簡易かつ迅速に処理を行う事を目的とし、原則1日で審理を終えるというものです。


②支払督促は60万円を超える金銭の請求に対する法的手段です。債権者は裁判所に対して、請求の根拠などの書類を送付し裁判所が妥当である判断した場合、裁判所が支払い命令書を債務者に出すというものです。


いずれにしても簡易化はされていますが、医療機関が取り組むには手間暇が掛かるように思います。ただ、やるのであれば、マニュアルや文書フォームを作成しそのとおり行えば済むところまで持っていければ、そんなに難しく無いかも知れません。


3)外部への委託

診療報酬の債権は譲渡する事は出来ません。また、未収金の回収は弁護士にしか出来ず、弁護士以外は未収金の督促の事務代行及び回収代行の業務に限定されています。委託するのであれば、これらについて検討する必要があると思います。


私は弁護士事務所と契約をした事があるのですが、私達は回収も重視しますが、社会資源の活用のサポートや自己破産した方がいいのに耐えているとか、そういう人を助けるのが目的ですと言ってました。お願いするならこういうところがいいと思いました。

ただ回収の事だけ考えるのでなく、お金が無くて病院に行く事が出来ない。そういう方に釘を刺す事ではなく、回収対策の中でどうしたら治療を続けられるかを一緒に考えてあげたいものです。

photo-ac.com/からの画像


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