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カルテ開示③カルテ開示の手順

カルテ開示のメリットについて前回書きましたが、いい事しか無いように思われます。ただ手順という意味では医療機関側にどうしても多少の負担が掛かります。しかしながらここを乗り越える事で、医療の質が向上し、医療提供側と患者との信頼関係が必ず増す事になるはずです。


この医療機関側の負担も、診療内容明細書のように習慣化されれば負担という程のものでは無くなると思います。行政も前向きにカルテ開示を国民の権利として位置づけ、その普及にもっと力を入れて欲しいと思います。


さて、カルテ開示の手順ですが、概ねどこも同じような以下の手順になっていると思います。

1)カルテ開示申し出の受付

2)カルテ開示申請書の提出

3)カルテ開示の委員会での検討

4)カルテ開示


1)カルテ開示申し出の受付

 誰でも手軽にカルテ開示の申し出を行えるように、備え付けの用紙を設置している医療機関は殆ど無いと思います。受付窓口にてカルテ開示を希望したい旨申し出を行い、その目的などを確認され、カルテ開示申請書が手渡される事になると思います。その際、➀開示費用についての説明、②カルテ開示に要する日数、③カルテ開示は申請すれば開示されるのでは無く、カルテ開示委員会で検討され開示可能となった場合のみ開示される、と言った事が説明されます。

 ※開示費用は概ね1枚10~20円程度と思われますが、病院毎で異なり必要以上に高く設定しているところもあり、行政からは社会通念上妥当な金額を設定する事が望ましいとされています。


2)カルテ開示申請書の提出

 カルテ開示申請の用紙を受け取り、必要事項を記載し提出を行います。その時のポイントは次のとおりです。

➀開示請求者

個人情報保護法との関係もあり、開示請求者と開示する情報との関係性が求められ、法律的に開示請求の権利があるがどうかが問われますので、場合によっては住民表などの提示が必要となります。

②開示の期間

開示の期間はいつからいつまでか。カルテの保存期間は、法律で5年間と定められていますが、これはその病気が治癒または医療行為が中断してから5年間です。よって患者によっては、何十年にも渡り治療を継続していることもあり、そのすべてが開示の対象となる訳です。そんな場合カルテは分冊(分けて管理)となっているはずで、医療機関によっては過去の分冊分が廃棄されている事もあります。とりあえずは必要な期間の請求を行い、医療機関側と相談しながら、その必要性に沿った治療期間の請求をする事が必要です。

③開示内容

カルテと一言で言っても、その開示対象が医療機関によって異なります。

医療機関によっては、医師が記載した内容や検査結果をカルテとしていたり、診療に関するすべてをカルテとしていたりとマチマチです。具体的には看護記録やコメディカルの記録、他の医療機関の紹介状などが開示の対象となっているか、いないかという事です。開示内容としてどこまで求めるかも考慮しておく必要があります。当然開示費用にも関係してきます。


3)カルテ開示委員会での検討

 カルテ開示は個人情報の開示ともなり、法律に則り適切な開示を行わないといけませんので、複数の関係者でその適切性を検討されるという事になります。また、診療情報の開示という事では、診療内容について十分説明されていたかとか、医療行為は適切であったかという事も病院によっては確認をする事もあります。また、すべての開示をこの委員会で検討するのではなく、小委員会を作り事務的に問題が無いケースは小委員会で判断し、結果だけをカルテ開示委員会に報告するところもあります。

 このカルテ開示については免責条項があり、➀診療情報の提供が、第三者の利益を害するおそれがあるとき② 診療情報の提供が、患者本人の心身の状況を著しく損なうおそれがあるときは、拒否出来るとなっているため、開示が必ず求められる訳ではありません。また、前記➀と②は考え方が漠然としているため、医療機関の考え方次第で開示の取扱い方も大きく変わります。


以上カルテ開示について書きましたが、積極的に開示されるようになる事を願っています。


実は自身の入院という事があり、ブログの更新が止まっておりました。いつも読んでいただいていた方には申し訳なく思っております。今後もマイペースで続けて行きますので、ご支援の程よろしくお願いいたします。


画像はCanvaの画像を加工

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