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カルテ開示➀現状

カルテ開示とはどういうものでしょうか。カルテ開示は、治療の経過やその内容を記載したカルテを患者ご自身やそのご家族等の要求に基づいて行うものです。そういう意味では頻繁に行われても不思議では無いのですが、一般的にはあまり広がっていません。


カルテ開示が求められる多くの場合は、医療訴訟の時が殆どでしたが、最近では認知症などが増えその患者さまの判断能力が問われる時なども、カルテ開示が求められる事が増えているようです。しかしながら、患者ご自身やそのご家族等が治療の経過やその内容についてよく知りたいと思った時に、カルテ開示を要求される事はまだまだ少ないようです。


そのため、医療機関もカルテを開示して欲しいと言われると、多くの医療機関では構えてしまうのが実情だと思います。医療訴訟が増えているという昨今の事情や、限られた診療時間の中でカルテ記載や治療そのものを常に100%満足出来るようにするというのは至難の技です。また一方で個人情報保護法があり、違反すると刑事罰を受ける事もあり、躊躇うのは普通の心情だと思います。


知っている方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、このカルテ開示を積極的に行っている医療機関もあります。カルテは誰のものかと言った議論もあり、患者のものであるというスタンスから、毎回診療が終わるとその時のカルテを印刷して患者さまにお渡ししたり、ある医療機関では自宅から自身の診療の内容が見れるように工夫をしているところもあります。これは素晴らしいと言うしかありません。これらを実現しようとすると、手間暇はもちろん設備投資も掛かります。それ以上に医療機関は多くのリスクに対し、患者さまを信頼出来なければなりません。病気を治すのは医師と患者の共同作業であるという言葉があり、まさにそれを実践していると言えます。


カルテ開示は現状ではその医療行為が正しかったどうかという法的判断が必要とされる時にしかカルテ開示は行われていないと言えます。カルテ開示そのものが歪めて捉えられています。カルテ開示は広い意味では診療情報の提供と位置づけられ、「診療情報の提供等に関する指針」の中では、「医療従事者と患者等のより良い信頼関係を構築することを目的とするもの」と記載されています。多くの医療機関で医師と患者との協力関係を築くための手段として積極的にカルテ開示をするようになればいいですが、ほんの一部でしか出来ていないのが実情です。


実はカルテ開示について簡単にご説明しよう思ったのですが、文書を書いているうちに書くべき事が増えて来たため何回かに分けて書かせていただきます。このテーマの次回は、積極的カルテ開示の必要性についてです。


画像はCanvaの画像を加工

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