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未収金対策⑤未収金のデータ管理

これまで➀~④で未収金を発生させない手順や、発生した時の手順、回収対策についてお話をしてきましたが、今回は未収金データの管理です。大きい病院では、年に数千万の未収が発生するところもあります。しっかりと対策を求められるところです。皆さんのところでは、どのようなデータを作っているでしょうか。これも一つの病院DXでは無いかと思っています。伝票で残して管理は論外です。


管理や分析を行うためには、データが欠かせません。データ化とはどうするのか。いろんなツールやアプリがありますが、エクセルのような表計算のアプリにデータを入れて、そこから必要な形でデータを抽出し加工するという事が必要です。


未収金で言いますと、次のデータを1件毎1行に入れ込む事から始まります。

1.未収発生日付、2.事案発生日、3.入・外区分、4.患者ID、5.患者氏名、6.連絡先➀、7.連絡先②、8.未収金支払い者氏名、9.続柄、10.未収金額、未収金内訳(11.保険金額、12.自費金額、13.消費税額)、14.限度額認定区分、15.窓口担当者、16.何の未収か、17.未収となった理由、18.回収区分、19.備考。この1~20が未収金発生時のデータです。


次に回収作業のデータです。20.1回目の督促日、21.督促の方法、22.先方の対応、これをそれぞれ2回目、3回目までは最低限作る必要があります。29.入金日、30.入金額、40.控除区分、41.控除額、42.控除理由欄、43.損金処理区分、44.回収備考が必要となります。そして、分割払いを考慮すると、分割が分かるように入金額の右側に分割欄を作っておくといいと思います。分割の詳細記録は、備考の後に回数枠、日付枠、入金予定額、入金額がその回数分があると尚いいのではと思います。


以上が必要な項目で、未収金を管理、回収金処理、経理への報告を考えた時には無くては困る情報で、これがバラバラにあるのでは管理も分析も出来ないのではと思います。


少し上記の項目の説明をします。

 ・連絡先が2つあるのは、患者さんが子供で支払い者が親である場合とかのためです。

 ・14の限度額認定区分は、限度額認定を受ける事で未収になりにくい事から、その手続

  きを促進させるためのものです。また、回収の中で制度を知らない方へのアドバイスに

  も使えます。

 ・18の回収区分は、院内規定で500円以内であれば、特に督促行為はせず来院されたら

  声を掛けるとか、内容証明付きの文書までは送らないとかの区分です。

 ・43の損金処理区分は、損金処理を行った後に回収出来た時のためのものです。


これだけ基礎データが揃うと、未収金の現状把握、回収状況、損金処理を行う対象の見える化出来ます。未収発生で言えば、入・外別に外月に何件の未収が発生し合計金額はいくらか。1件当たりの平均金額、前月差や前年平均との比較も出来ます。


また、未収発生の理由別件数も集計出来ます。ただこの未収発生理由は、例えば「持ち合わせ無し」とするだけではダメで、どうして持ち合わせが無かったのかも分析する必要があります。いつもと同じ医療費でいいと思ったら、急に検査をする事になり、持ち合わせが足りなかったかも知れません。病院側とすれば、次回検査ではダメだったのか、前回に必要性が分かっていれば、次回は検査をしますのでいくらぐらいになるとお伝え出来ていれば、お金をご用意していただいていたかも知れません。


こういう分析が出来れば、検査の予定は事前にお知らせし、検査費用の概算もお伝えする事を徹底出来れば未収は減る事になります。


次に回収ですが、前月の回収は何件で、該当月の未収金は何%回収出来ている。しかし、月平均で見るとまだ回収率が何パーセント低いので、督促はキチンと出来ているかが知りたいという事になる。そうすると、連絡は3回目まで記録しているので、連絡の頻度が落ちているかとかも分かります。また、決算時の経理課への報告もこのデータがあれば、すぐに報告出来るはずです。なかなか大変な作業のようですが、データさえ入れればエクセルで加工すぐに答えが出ます。このデータを手で集計しようとすると大変な労力になります。


また併せての資料として、限度額認定利用の件数を毎月計上してもらい、その件数を追いかけるのもいいと思います。


以上のデータですが、エクセルなどの表計算のアプリを使わないと管理出来ないと思います。手間暇が掛かり過ぎます。そして、常に入れたデータがすぐに確認出来るようにしておく事です。


エクセルではよくピボットテービルを使いますが、あれは非効率的だと思います。いつも見るデータであれば、別シートに表やグラフを作成しそこに集計出来るようにすれば、集計作業の必要はありません。またシートは何枚でも作れるので、関連データをシート毎にまとめておけばシートをクリックするだけで見渡せます。つまり、未収金発生データの集計シート、回収データの集計シート、経理報告用のシート、未収金発生理由別のシートというふうに作っておくことが望ましい形です。また、そのシートに月毎のコメントも入れるようにしておく事も出来ます。


現象や結果をデータ化、分析、傾向を見て対策するという事です。お話がゴチャゴチャしましたが、ご不明な点やエクセルの使い方など分からないという事でしたら、お問合せをいただければと思います。

photo-ac.com/からの画像



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