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病院の経費削減②成功する取り組み方

病院の経費削減につきましては、昨年9月に書きましたが今回はその続きです。


病院の経費削減は一般企業とは異なる点など前回書きましたが、それは経費削減の取り組み方も異なります。病院は命や健康を守るところということです。職員の働く目的の多くはそこにあります。そこで下手に経費削減を打ち出すと、病院の患者さまに対する姿勢が疑われ、職員のモチベーションを下げることにもなります。


経費削減の取り組みは避けられませんが、経費を下げるという事と仕事の質を下げない、むしろ質を上げるという2つの事を実現出来なければありません。特に病院には求められることです。さらに病院はチームで動いています。経費削減でチームワークが乱れるようなことがあってはならないのです。


ではどんな風に取り組むといいのでしょうか。

1) 収入増の提案と削減の提案を合わせて行う

事業計画というのは、殆どの病院で作っているようですが、実は作っていないところも多いのです。事業計画を作り職員と共有することで、いろんな事に対する目的と目標が出来るようになります。この経費削減も同じで、「これを達成したい、そのためにこれだけの収入が必要である。しかしながら収入増だけでは足りないので、経費をこれだけ削減したいということになるかと思います。


こうなると経費削減は、単なるムダを無くそうでは無く、達成しなければならない課題となります。しかもそこには目的も明らかになり必要性も分かるということになります。ただ経費削減だけでは病院からの協力依頼という受け取られ方しかしませんし、夢がありません。経費削減の先に病院の新築であったり、職員の待遇改善などが見えると結果は違ってくるはずです。



2)削減目標を決める

事業計画を作るとその中で経費削減についても、予算化する必要があります。その数字が目標となる訳ですが、事業計画を作っていないところであっても必ず目標を作って取り組まないと真剣な取り組みは出来ません。


目標を作ることで、毎月目標に対して先月はどうだったのかという評価が出来て、次の展開に進める訳です。PDCAサイクルです。いったん削減をすると決めれば、毎月曖昧にせずしっかり取り組まないと、いつの間にかその取り組みが消えているということにもなりかねません。


3) 目標とプロセスの共有

事業計画をどこまで公開しているかは病院によって異なっています。しかしながら、経費削減に取り組むのであれば収入目標や削減目標を職員全体で共有することが必要です。病院幹部だけしか知らないというのは、取り組みが進みにくいし進んでも職員の精神的な負担にしかなりません。


目標を職員で共有し、目標への到達状況も共有することで、病院と病院職員が一体となった取り組みになって行きます。この到達状況の共有の中で必要な事があります。それは漠然と経費削減、特定の部署に偏った負荷を掛け、それを共有(モニタリング)するような形にならないことです。また、職員全体に働き掛けるような形が必要です。


各部署については、各所属長が責任を持ち進めるのですが、病院としての職員への働きかけとしては、➀電気料金、②水道料金、③ガス料金、④紙の使用量、⑤カラー印刷の量と言った誰でもが気を付けなければいけないことをデータでモニタリングし共有することが必要です。


誰でもが気を付けることを数値目標とすることで、職員が互いに牽制することも出来ます。また、毎日のありふれた行動の中に経費削減が求められることで、業務中の職員の意識も高くなります。また管理職も管理する習慣が芽生えるということも起こってきます。


4) 削減項目の洗い刺し

病院では削減目標を決めますが、詳細までは決めることはなかなか出来るものではありません。それぞれの部署で洗い出しを行い、削減項目を決めて行きます。また提案制度を導入するのもいいと思います。出て来た削減項目が患者さまや職員にどういう影響をもたらすのかを確認する必要があります。そして、部署として削減に取り組む項目を決めて取り組むことになります。


5) 実績の共有化

毎月取り組んだ結果を実績データとして数値化を行い、報告出来る体制を作る必要があります。用度課などは大変ですが、本来必要な作業でなかなか出来ていないのが実情だと思います。しかし、モニタリング出来る数値が無いと、職員はどう頑張ればいいのか分からなくなります。このコロナ禍では消毒液を毎月どれぐらい使用しているかを感染対策委員会に報告し、モニタリングする必要があるのですが、出来ているところは少ないようです。毎月の使用量がどの程度かで職員の手洗いがどれほど徹底出来ているかの目安になるからです。経費削減の取り組みがしっかり進むような組織ではこんな数字もすぐに出て来るようになるのでは思います。


6) 継続的な地道な努力

 病院では継続的で地道な努力が求められるものがたくさんあます。しかしながら、課題が多過ぎて継続的に追い掛けることが難しくなっています。経費削減もその一つで、システム化して毎月追いかけることが出来るようにして欲しいと思います。

 

 私が親しくさせていただいていた法人では、削減出来た費用の半分を職員にフィードバックしていました。みんなで努力した結果をみんなで分かつという素晴らしいやり方だと思います。こういう風に取り組むと、継続的な取り組みとして定着するのでは無いかと思います。みなさんもいろいろと考えてみられてはと思います。


画像はCanvaの画像を加工

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