top of page

診療のあり方⑤患者さまとの関係作り

掛かり付け医という言葉は、ずいぶん前からある言葉である。日頃何かあれば受診する診療所とか病院という事になろうかと思う。皆さんもよくご存じかと思う。しかし、医療提供体制の再編が進められる中で、この言葉は新たに定義をされている。


掛かり付け医とは「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」という事である。日本医師会のホームページに記載されている定義である。


医療機関の役割分担が行われる中で、国民はいきなり大きな病院に掛かるのでは無く、まず身近な開業医等を受診することを前提としたものになっている。しかしながら、今開業されている医師の多くは、この定義に見合うような教育を受けておらず、総合医の育成などのシステムが出来てはいるが、この定義にあった役割を果たせる医師は少ない状況である。


私が診療のあり方として求められる内容は、実はこれとよく似ている。受診された患者さまの病気の治療をしながら、常に全身管理を気遣い、健康に生活する事を支援する医師である。


例えば、お薬手帳は、受診の都度医師はチェックしてくれているであろうか。そこには、他院で処方された薬の内容も記載されている。そのチェックは本来必ず必要である。自院で出すお薬との相互作用なども考慮すべきである。なかなか、毎回見る医師は少ないのでは無いだろうか。

 或いは、他に眠れ無いとか、体調の悪いところとか無いですか、と聞ける医師は少ないはずである。これはは少なくて当たり前だと思う。前述のように、そういう教育を受けていないという事もあるが、別の大きな問題がある。外来での診療は殆どが医師が担い、他の職種が関わる事が少ない。それだけに多くの患者一人一人にそんな配慮をする余裕が無いというのが実情では無いかと思う。


大きな病院では、事務や看護師が予診を行ったり、事前に準備された予診表にその日やるべき検査などの予定が印刷されたりしていて、その内容に従い検査等が医師の指示を待たずに先に行われる。分業化が進んでいるのである。電子カルテの代行入力も取り入れている病院も増えているが診療所ではまだ見た事が無い。つまり、医師が一人で何もかも判断し実行する事になる、忙し過ぎるのである。また、そんな忙し過ぎる医師を相手にゆっくり相談するというのは患者側にも難しい事である。


よって、医師や看護師、その他の職種との役割分担を行い、一人一人の患者さまの診療に当たる事が求められる。例えば、予診は看護師や事務を活用すると、患者さまもあまり緊張や遠慮もなく、聞き取れる事も多いはずである。その内容が電子カルテに記載されていると更に効率化が進む。また、患者さまとは、医師とだけの点で接するより他の職員を含めた面で接する事が望ましい。患者さまの疾患管理や日常の身体問題の相談など、それぞれの役割を決めて面で接する事である。これが形に出来ると医師の負担が減り、患者さまの思いを知る事が出来て、患者さまの満足度も上がる。医師以外の職員の遣り甲斐も増えて来るはずであり、職員の姿勢も変わってくるはずである。

photo-ac.com/からの画像


bottom of page